水瓶の水はいつなくなるか ~内部留保~


資金繰り表を活用した経営を推奨しています。コロナ禍にあっても持続可能な事業とするためには、資金繰り表をつけて、現預金の管理をしながら事業の方向性を判断し行動していく事が重要です。

内部留保があり、暫くの間は売上、利益がキャシュベースで減少してもまあ大丈夫。と思っている経営者も、今一度、売上が0になった時に『仕入先、給与等人件費、固定経費、利息の支払い、納税、元金返済』の支出支払いを滞りなく行い、資金調達が出来ないとしたら何カ月もつかを確認してみると良いでしょう。意外と2~3ヶ月分しか流動性の高い(即使える)資金はないのではないでしょうか。

つまり、本業の延長線上だけで、会社は「将来ずっと安心」とはなり難いのです。

金融機関から借金はしなくても、いつでも融資を受けれる協力体制が常に得られる状態にしておくことも、本業以外には重要です。以下の3つのエビデンスは平時より用意しておきましょう。
新型コロナウィルス感染症対策支援を受けるにも、私のクライアントの大半は、以下の状況を平時から整えていたので、給付金申請、融資申請、納税猶予に各ステージ【拙著;使える!資金繰り表の作り方(旬報社)にある会社の状況をステージで分けています。】で即対応ができました。

決算を行い納税し、決算書を分かりやすい場所(いつでも出せる場所)に保管しておく。
会計帳簿を記帳(会計ソフト入力)し、いつでも直近2ヶ月前までの月次残高試算表は出せる状態にある。
資金繰り表で通期(今期)の着地予測までは計画を示せる。

平時なら内部留保の純増ができるような会社でも、今のコロナ禍では内部留保の取り崩しに迫られているところが少なくありません。

売上が既存の取引では上げ難く、売上入金が少ないとなれば、内部留保を取り崩す他は、資金を借入れ等で調達して会社に入金する。または、視点を変えて、支払いを繰り延べて支出を抑えることで現金の流出を止め明日の事業資金を確保するしか生き残る道がありません。

「売上が完全に0になる事なんてない。そんな事になったら会社は即倒産だよ」と内部留保の必要性を話し、資金繰り表の活用の重要性を話すと、多くの経営者が笑っていました。
しかし、コロナ禍で実際に売上が0になることがありえてしまいました。そして、そうなったら即倒産という選択は、実際には難しいものなのです。
資金繰り表を活用した経営を一緒に進めて行きましょう。

このメルマガは、私の著書やホームページから資金繰り表をダウンロードして活用してみよう。と思って頂いた方に、GDP速報と人口統計資料を中心に経営に資する情報を共有し、マクロ的視野でマーケットと経営を研究しながら、普段のビジネス雑談に深みを持って頂ければ幸甚と思い毎月更新しています。

2020年4~6月期四半期別GDP速報(1次速報値)では、実質GDPが年率▲27.8%というとんでもない数値が公表されました。

会社で例えると、売上と仕入と変動経費は3割下がるけど、人件費や地代家賃、利息や返済などの固定支出はそのままで経営してみて。と言われているようなものでしょう。

それを受けて、経営者がみんな中長期的な売上を中心とした事業規模の拡大より、目先の固定支出の削減だけを目指してしまえば、自社だけでなく業界全体、さらには日本国中が不安の中で消費が落ち、さらに衰退する負のスパイラルに入ってしまいます。

そうならないように各会社の経営陣には、資金繰りを管理しながら、損益計算書(PL)の科目で対処するだけでなく、資金調達と売・買掛の期日(サイト)の交渉などの貸借対照表(BS)の科目も含めた経営の舵取りを行って欲しいと思っています。

そこに追い打ちをかけるように人口減少による労働力不足と、社会保障費の増大が顕在化してきます。

この大局を見据えて、私たちは、新しい価値観や、新しい事業を創出していく必要性とチャンスがめぐって来ていると思った方が良いのでしょう。共に挑戦して行きましょう。

Ⅰ.国内総生産(支出側)及び各需要項目

1.ポイント

[1]GDP成長率(季節調整済前期比)
2020 年4 ~ 6月期の実質GD P( 国内総生産・2011暦年連鎖価格) の成長率は、▲7.8%(年率▲27.8%)となった。また、名目GDPの成長率は、▲7.4%(年率▲26.4%)となった。

[2]GDPの内外需別の寄与度
GDP成長率のうち、どの需要がGDPをどれだけ増加させたかを示す寄与度でみると、実質は国内需要(内需)が▲4.8%、財貨・サービスの純輸出(輸出-輸入)が▲3.0%となった。また、名目は国内需要(内需)が▲5.5%、財貨・サービスの純輸出(輸出-輸入)が▲1.9%となった。

2020年4~6月期四半期別GDP速報(1次速報値)(令和2年8月17日/内閣府経済社会総合研究所)より抜粋


総人口の推移


人口推計-2020年(令和2年)8月報-(令和2年8月20日/総務省統計局)より抜粋


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