続けられる力が、真の力となるという考え方


資金繰り表を、会計入力、会計報告とは別に作りながら経営に活かせて行ける会社はどのくらいあるのでしょう?あまりないのが実情だと思います。

相談にお見えになられる経営者で経営に活かす事を想定した資金繰り表を持参して来られる方は3割以下の印象です。

現金出納の延長線上で、お金が今月足りるか足りないかを推し量るような独自の資金繰り表を持参されてくる方が3割くらいでしょうか。

それ以外は、経理の財務会計報告(決算書や試算表)はあるものの資金繰り表を別途に作る事はしていないです。

資金繰り表の作成は経理担当者にしてみれば、手間になる作業で『二度手間以外なにものでもない』と思って作成を止めてしまったり、中小零細企業の社長にとっても『税理士に任せているからいいや』『役に立つのは分かっていても面倒くさい』と作成が続かない事が多いです。

ですが、経営者にとっては、社内にも社外の金融機関や取引先にもエビデンス(証拠)として示せるし、資金繰りを基に経営戦略を立てる材料となります。ぜひ、続けて経営に活かしていただければ幸甚です。続けるという事が重要なのです。

このメルマガでは、資金繰りフォーマットをダウンロードして頂いた方に日頃忙しく統計資料の検証まで時間も労力も取れないとの声に、私が日頃から注視しているGDPの推移と人口統計だけでも共有していければ、皆さまのお役に立てるのではないかと継続してお送りさせて頂いております。

今月は2月14日に発表された2018年(平成30年)10-12月期GDP速報値(1次速報値)をご紹介しながら、肌感覚としての実感を共有し検証しながら自分の会社経営に活かせていただければ幸甚です。

実質GDPの成長率は0.3%(年率1.4%)で2四半期ぶりのプラス成長となったとしています。ちなみに前四半期の7-9月期は災害等の影響が大きいとしてー0.7%となっています。何が要因で増減しているかと言えば、民間最終消費の増減が大きく影響しています。

会社や個人がお金を使い、また一方で、需要があると考え会社がモノを生産する量を増やす状態です。

昨年を振り返ってみて、皆さんの実感が如何なものでしょうか。残念ながら私や私の周りの中小零細企業の経営者からはGDPの数値の増減を実感できているという人はいませんでした。『デフレ脱却?アベノミクスの成果?企業業績過去最高?景気回復?』と疑問の声が経営者の多数の感想です。

そこに勤務する社員も『賃金上昇?過去最高ボーナス?』と疑問の声が多数で、中にはメディアでそう報道されているし、人手不足とも報道されているから、自分の勤務している会社以外は、きっと好待遇、高給与に違いないと考え転職を考える。などという人もいます。

自分の能力を上げて今の会社で実績を出す。という本質的な事を忘れて、他に依存し、期待して転職を繰り返すなんて事になっている人も増えています。

実はこれが、人手不足や有効求人倍率1.6倍の大きな要因になっていると私は思っています。定着率の減少です。

働く人数の問題が本質ではなく、働く人の質の問題ということです。今いる場所で成果が出せないまま、次の環境に移っても成果が出せないのではないかと思うのです。青い鳥を求めて他に頼りさまよっていても、自分自身に原因がある。と気づかなければ、幸せは訪れないのではないでしょうか。どこでも成果が出せる能力があれば、逆にその会社に留まる必要もないかもしれません。

また、中小零細企業の経営者や、そこに勤める従業員にまで(国内の99%がこの範疇にいます)景気回復の実感が得られるまでは時間がかかるという人がいますが、重長厚大産業や物流インフラ整備が全盛期の時代ではそうであっても、今の社会・産業構造ではそうはならない。時間の問題ではないのです。光陰矢のごとく目まぐるしく社会や産業構造が変化する今の時代は、政策で規制を強化したり緩和したりすることよりも、みんなに自由に生き方を選択できるようにすべきなのだと思います。

以下に、GNI(国民総所得)の資料を示してみます。実感とやはり乖離してしまうのは私だけではないでしょう。

[1]GNI(国民総所得)の動向
2018 年 10-12 月期の実質GNI成長率は、季節調整済前期比で 0.3%(年率1.3%)と 2 四半期ぶりのプラスとなった※3。海外からの実質純所得(寄与度0.1%)がプラス寄与となった一方、交易利得(寄与度▲0.1%)がマイナス寄与となった。名目GNI成長率については、季節調整済前期比で 0.4%(年率1.5%)と 2 四半期ぶりのプラスとなった※4。
2018 年の実質GNI成長率は、前年比 0.0%となった。海外からの実質純所得(寄与度▲0.0%)は概ね横ばいの寄与となった一方、交易利得(寄与度▲0.6%)はマイナス寄与となった。名目GNI成長率は、前年比 0.6%となった。
海外からの純所得(寄与度 0.0%)は概ね横ばいの寄与となった。

[2]雇用者報酬の動向
2018 年 10-12 月期の名目雇用者報酬は、前年同期比で 3.2%増、季節調整済前期比で 0.7%増となった。前年同期比については、雇用者数、一人当たり賃金がともに増加に寄与したとみられる。実質雇用者報酬については、前年同期比では 2.5%増、季節調整済前期比では 0.7%増となった※5。
2018 年としては、名目雇用者報酬は前年比 3.1%増と 6 年連続の増加となった。実質雇用者報酬は前年比 2.3%増と 4 年連続の増加となった。

※3 実質GNI=実質GDP+海外からの実質純所得+交易利得
※4 名目GNI=名目GDP+海外からの純所得
※5 実質雇用者報酬は名目雇用者報酬を家計最終消費支出(除く持ち家の帰属家賃及び FISIM)
デフレーターで除して算出した参考値。

【内閣府】四半期別GDP速報(2018(平成30)年10-12月期・1次速報) ポイント解説より抜粋


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