事業の赤字は悪?!本当にそうでしょうか?


天候も荒れていますが、第48回衆院選も荒れています。毎月統計資料を基に個人的見解を含めながら分析させて頂き中小・零細企業が、今どう動くことがベターなのかを話しています。

今回の選挙では、与党が統計資料を基に景気・経済が上振れてきている事を前面に出し、アベノミクスの成果を訴えています。一方野党は、その数値に疑問を呈し国民に実感がない事と、合致していないと訴えています。あるエコノミストによれば、成熟した経済国においては、国民全体が景気が良いと実感出来るようにする事は難しいと言っています。
直接的で、恣意的で無い統計資料を基にして、私たちは自社(自分)のあるべき姿を創造していかなければならないと思っています。
我々中小・零細企業は、人件費の適正化と、社員の確保と教育は永遠の課題です。社員として働いてほしい労働人口は否応なく減少の一路を辿っています。

 

人口推移 平成29年10月20日 総務省統計局より抜粋

そして、この少なくなっている労働人口を自社に勤務してもらうにはどうしたらいいかを考えます。

考えるのは、賃金(給与)を上げ、待遇を良くしてノー残業や、有給取得の徹底、勤務時間のフレックス制度、中にはバーズデー休暇やプレゼントを渡すなどを導入して、利益を削って雇用を呼び込むという事を考えがちです。
実際その考え方で、まずは社員の確保だとして、資金的に厳しくても、まずは雇用だと無理をして雇用に力を入れている会社も多いです。
経産省の数値でも、中小企業では大企業より率でいえば、雇用が増えています。半面利益率は落ち、内部留保が下落している所が増えています。

ここで言いたいのは、『社長、お金で人を採用したら、お金で他社へ行ってしまいますよ』ということです。
『社長のこの事業に関心と興味があり、この仕事をしてみたい。社長と働いてみたい。』といった動機で入社してもらわないと、社長の考えている雇用は実現しないということです。

これは東京のみならず全国的に中小・零細企業が社員の採用について気を付けなければならないところです。というのは、好むと好まないに関わらず地域性があるからです。地域の働き手の人数、最低賃金は地域ごとに違うでしょう。
スマホ・タブレットなどの端末の普及で、会社のイメージが大企業のキラキラした社風がメディアとして露出されていますから、そこを基準としてもらっても、自社では採用できないです。だから少しでもキラキラした会社に合わせるように給与を…待遇を…としても自分を苦しめるだけです。
それに応募者数を給与・待遇面でお金で釣って増やしても、定着してもらわなければ意味がありません。社長がめいいっぱい高待遇、高給与で採用しても、その方はきっと、社長のところより高待遇、高給与で他社が引き受ければ行ってしまいます。
人件費で考えても自社で採用出来る人数は、そう多くないと思うのです。ならば、本質的な動機を基にした募集で、応募者数は少なくても的にあった少ない応募から採用した方が定着率も上がります。

話題を変えて消費税。使い方を変えるけど消費税増税は絶対に必要とする与党。景気回復実感のないままに消費税を上げたら景気が悪くなるとする野党。個人的な気持ちとしては消費税増税反対どころか、消費税を無くして欲しいと思っています。感覚的には消費税は、売上税に近いものです。物価の上昇が思うように行かず売値に値上げが出来ずに、原価は高止まりの中にあっては、売上にかかる消費税増税は値引きと同義になってしまいます。
消費税転嫁の状況報告書を上げて貰えば、国が改善しますといっても、直接元受けの取引先に下請けである会社からだと分かれば、取引そのものが危うくなってしまうという恐れを感じるのは理解できるところです。

さらに、消費税増税が値引きと同義になれば、赤字の会社の資金繰りには大打撃となります。

 

平成29年8月 国税庁 平成28年度 租税滞納状況より抜粋

消費税滞納の比率が圧倒的に高いです。事業者が、預かった消費税を国に納めてない会社は悪だと非難する人もいるでしょう。滞納者を擁護はしませんが、なぜ、納税しないのか?を考えてみてみましょう。お金があるのに納税しないというのは私も許せないですが、資金繰りが厳しい会社が、消費税分の資金を人件費や経費に投下しないと事業が継続出来ないとしたら。そんな会社は倒産してしまえばいいという意見もあるでしょう。しかし、その事業者の代表、その家族、従業員の家族は、その仕事を収入源にして生きているのです。高齢で仕事を失ったら、その人達、その家族の生活をどう保障しますか。
ある本で急成長の会社の社長が、事業の赤字は悪だ!と言い切っていました。本当にそうでしょうか?
事業者は、赤字でも仕事の受注があったり、商品を提供したりして需要がある事業だから、顧客がいるから精一杯その仕事で答えようと続けているのです。そして、従業員を抱え、少しでも給与が出せるように踏ん張っています。そういった真面目に働いているし、営業努力もしているけど元受けからの受注が増えない。という赤字でも継続している会社を沢山見ているから、赤字は悪という言葉に反応してしまいました。

 

平成28年事務年度 法人税等の申告(課税)事績の概要より抜粋

どうでしょう。赤字の会社の割合、実に66.8%約7割の会社が黒字ではないのです。

中小・零細企業の経営者のみなさん!諦める必要なんてない!売上があるなら、顧客がいるなら、需要があるなら!社会に必要とされている事業なんです!自信を持って!


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