悩ましき人件費、中小・零細企業は独自の戦略で事業継続の中でチャンスを掴め!


毎年9月は、10月1日以降の最低賃金引き上げによる賃金規定の見直しと、人件費の見直しが必要になっています。
中小・零細の経営者が悩まされるところです。単に給与支払い額を増やすのが悩みという訳ではありません。

正社員の基本給を上げると、残業時間をみなし残業としている会社では、残業代も割増で一定時間額が、割増の固定給与として計算されていきます。社会保険料の会社負担分も増えます。パートの雇用が多いところも、残業を減らす事ができても、業務に支障がでないようにと考えると、簡単に減らせばいいというものでもありません。
2017年度の最低賃金引き上げ額が発表され、全国平均25円引きあがります。2年連続で20円超えの大幅な引き上げとなります。
ちなみに東京は958円(+26円)、高知737円(+22円)となっています。働く側からすれば、給与が少しでもあがれば嬉しいことです。雇用者も、出来るなら、もっと給与をあげたいと思っています。

今回は、一人ひとり、個別世帯までの統計資料を使って見てみましょう。労働者賃金が引き上がる中では、各世帯所得も上がりそうなものですが、児童のいるお金の必要な世帯の所得平均は27年対前年比△0.7%・・・・マイナスです。全世帯平均所得27年は、わずかに+0.7%です。
児童のいる世帯の平均所得(H27)707万8千円が多いか少ないかはそれぞれ思うところは異なると思いますが、お金の必要な世帯に、全体として所得が増えていないか、格差が広がっているかの理由はあるにせよ絶対値が下がったのは間違いない所でしょう。
この統計資料の続きを見て行くと、所得の種別で公的年金・恩給の割合が54.1%であったり、貯蓄借入の状況で全世帯平均貯蓄額が1,033万1千円であったりと興味深い数値が見られます。
経営者の皆さんは、自分自身や、社員一人ひとりが平均値以上を保てているとは思えないというのが実情ではないでしょうか?
平均値という言葉を”普通”や”一般的”といった言葉と同義に考えると、苦しくなるばかりか、本質を見失った選択をする危険があります。
経営においては、同業他社の業界平均をベンチマークとする経営戦略を取ろうとすれば、自身を見失いかねません。自社は自社!独自の戦略が腑に落ちるものであれば、それが正解で、それで良いのです。

厚生労働省 平成28年 国民生活基礎調査の概況より抜粋

 

関連ずけてもう一つの資料に小規模事業者の給与(現金給与額としていますが)があります。小規模事業者に勤務する労働者の給与として見たときに上記2資料とは別次元として扱われるのか?と疑問に思ったのが私の第一印象です。
宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業の社員が正社員でフル勤務したら、最低賃金守れてないんじゃないですかね。
また、その稼ぎ手が世帯主で児童のいる世帯だったら世帯別の所得平均にはほど遠い所得となります。小規模事業者に従事する社員は正社員の約1%としても5万人。中堅企業でも、この表にあるくらいの給与水準のところは多いのではないでしょうか。
とすれば、平均値世帯収入も疑問が出てきますし、最低賃金の引上げが問題解決にならないとも思うのです。

厚生労働省 平成28年毎月勤労統計調査特別調査の概況より抜粋

 

中小零細企業の経営者は、自分自身の報酬、社員・パートの給与が最も頭を悩まされる事の一つです。ここを払拭するためには、粗利益の増益が必要になります。
しかし、デフレ環境が継続しているような需給バランスが続いている市場においては、粗利益を上げるのは至難な事。
では、どうするか、商取引の中で粗利を上げる努力(売値に付加価値をつける等)と交渉は王道として常時行うとして、資金繰りの支払いサイト(期間)の見直しや、入金サイトの見直しに目を向けて、事業継続ありきで、月末残預金額を増加させていく事でチャンスを掴んで行く必要があるように思います。

事業継続していれば、ビジネスチャンスを捉えて勝機を掴むチャンスが来ます。諦めて下を向いていては、目の前のチャンスにも気づけません。上を向いて行きましょう。


経営に活用できる「資金繰り表」無料ダウンロード実施中!